富士金属工業所はシャーリング加工を含め、板金加工のスペシャリストです。
ご要望に合わせ、金属板の切断、抜き、曲げ、溶接、その後の塗装、メッキ、組み立てまで一貫した対応が可能です。
東京都内のフットワークの軽さと対応力でお客様のご要望にお応えいたします。
シャーリング加工をわかりやすく説明
シャーリング加工は板金加工の工程のひとつです。厚くて硬い金属の板をスピーディにせん断できるため、精密板金には欠かせない加工方法といえるでしょう。今回はシャーリング加工の基本情報と特徴をわかりやすく解説します。
シャーリング加工とは
シャーリング加工は圧力をかけて金属を切断するプレス加工の一種です。1枚の大きな鋼板(定尺材)から、必要なサイズのスケッチ材を切り出します。まず、シャーリング加工の原理や仕組み、加工のやり方、シャーリング加工機の種類を解説します。
シャーリング加工の原理と仕組み
シャーリング加工はハサミと同じ原理で、上刃と下刃で板材をはさんで「せん断」します。せん断とは、対象物のある断面に対して平行で互いに反対向きの力を加えて、対象物をその面に沿って直線的に切断する方法のことです。
シャーリングマシンの切断刃はハサミのように上刃と下刃に角度がつけられていて、これをシャー角(またはレーキ角)といいます。シャー角のおかげで少ない力でもせん断できますが、角度をつけすぎると板材を変形させてしまう恐れがあります。
シャーリング加工のやり方
はじめに、機械の奥にある当て板(バックゲージ)を調整します。上刃と下刃の間に板材をセットして当て板まで押し込み、位置決めをしておきます。
周囲の安全を確認してから、スイッチを入れてシャーリングマシンを稼働。金属板材を押し込みながらせん断します。板押さえや上刃に手を近づけないよう、細心の注意を払って作業を進めます。
作業中はせん断後の板材がマシン後方へ落下するため危険です。切断材ストッパーや進入防止柵などを設置することで思わぬ事故を防ぐことができます。
シャーリング加工機の種類
シャーリングマシンは駆動方式の違いで2種類に分類できます。
・機械式シャーリングマシン
回転するフライホイールの力をクラッチで切断刃に伝達し、せん断をおこないます。加工スピードが速く、薄い板材を効率よく加工することが可能です。
・油圧式シャーリングマシン
油圧式シャーリングマシンは油圧ポンプの力で切断刃を駆動させる工作機械です。機械式より加工スピードが遅いですが、加圧力は安定しています。振動や騒音が少ないため切断刃の寿命が長く、機械式では難しい厚めの鋼板も切断できます。
シャーリング加工の特徴
鋼板の切り出しにはさまざまな方法があります。シャーリング加工もそのひとつですが、ほかの加工方法と比べて特徴的な点はどんなところでしょうか。ここでは、シャーリング加工の特徴を紹介します。
クリアランスの設定でダレやバリを抑えられる
板材に圧力をかけてせん断すると、切断部分にダレやバリが発生します。ダレは切断面の上部が上刃で押さえつけられて丸くなった状態のことで、バリは切断面の下部が上刃に引っ張られて尖ってしまった状態のことです。
シャーリング加工では上刃と下刃が閉じたときのすき間(クリアランス)を素材に合わせて適切に設定することで、ダレとバリの発生を最小限に抑えられます。
せん断が高速におこなえる
シャーリング加工は定尺材を瞬間的にせん断したり、連続で切断したりできます。一度のせん断で複数の加工材を取ることも可能です。クリアランスが調整されたシャーリング加工なら、ダレやバリが小さく切断面も荒れにくいため、次の工程へスムーズに移ることができます。
シャーリング加工の基本情報と特徴を知っておこう
ハサミと同じ原理で鋼材をせん断するのがシャーリング加工です。クリアランスを適切に設定すればダレやバリの発生を抑えてきれいに切断できます。ワンアクションで硬い板金をせん断し、連続切断も可能なため作業を素早くおこなえるのがメリットです。
近年ではタレパン加工やレーザー加工などで定尺材から製品加工に入ることが増え、シャーリング加工を省略するケースも多くなってきました。とはいえ、精密板金の作業効率を向上させるシャーリング加工は、現在も重要な役割を果たしています。