富士金属工業所は箱物筐体の製作をはじめ、板金加工のスペシャリストです。
金属板の切断、抜き、曲げ、溶接、その後の塗装、メッキ、組み立てまで一貫した対応が可能です。
フットワークの軽さと対応力でお客様のご要望にお応えいたします。
箱物筐体をわかりやすく説明
箱物筐体は制御盤を保護する重要な役割を担っています。生産現場のファクトリー・オートメーション(FA)を進めるために新たな制御盤の設置を検討しているなら、筐体製作もセットで考えなければなりません。今回は制御盤に必要な箱物筐体について解説し、作りかたや製作の注意点も紹介します。
箱物筐体とは
箱物筐体(はこものきょうたい)は文字どおり箱型の筐体のことで、製造業においては制御盤を入れるための金属または樹脂でできた箱を意味します。
筐体とは機械類や電気機器などを収める入れ物のことです。通常はフレームも含めた外装全体を指します。名称はさまざまで、ケースやボックス、キャビネット、エンクロージャー、ハウジングなどの英単語で呼ぶことも多いです。外側部分を指すことからガワと呼ぶ人もいます。
パソコンやテレビ、ゲーム機などの電子機器はもちろん、広い意味では自動車や飛行機のような乗り物の外装部分も筐体です。
箱物筐体に制御盤を収める目的は、内蔵されている電子機器の保護です。機器の故障を防ぐため、使用環境によっては防水や防塵、さび対策をおこないます。
箱物筐体の作りかた
箱物筐体の多くは、鋼板やステンレス、アルミニウムなどの金属素材でできています。そのため、箱物筐体を製作するには板金加工の技術が必要です。ここでは、箱物筐体をどのような工程で作っていくのかを紹介します。
箱物筐体の設計
箱物筐体は制御盤に合わせて作られるため、制御盤の製作仕様書が筐体設計の基準となります。外形や筐体工作図、内部の詳細を決め、配線接続図やケーブル経路図も含めて図面を引きます。
レーザー加工・タレパン加工
設計図をもとに、板材を切断したり穴あけをしたりします。素材や形状に合わせて、レーザーやタレパンで加工をおこないます。複雑な切断をする場合はレーザー加工が有利です。低コストで高速な加工ならタレパンのほうが向いています。どちらの方法もNCプログラムを用いれば安定した品質で加工できます。
曲げ加工
板材の切断や穴あけ、抜き工程が済んだら、ベンダーで板材を曲げて目的の形状を作っていきます。プレス機械で非常に強い圧力をかけるため、頑丈な鋼板やステンレスも問題なく曲げられます。ただし、高い精度で曲げ加工をおこなうには、板厚や素材特性などを考慮した緻密な計算が不可欠です。
溶接・組み立て
ワーク(加工された板材)を溶接して箱物筐体を組み立てていきます。筐体の溶接方法としては、作業がスピーディで仕上がりもきれいなスポット溶接が主流です。組み上がったら、研磨機や仕上げ工具で美しく磨き上げて完了です。
筐体製作の注意点
制御盤の製作は、箱物筐体への取り付けからスタートします。筐体がしっかりと出来上がっていなければ制御盤を完成させることはできません。ここでは、箱物筐体を製作するうえで注意するべきポイントを、設計と加工の各工程別に説明します。
設計で注意すべき点
・使用環境
筐体を設計する前に、制御盤の使用環境を十分に想定しておくことが必要です。環境によって適した素材や構造が変わります。例えば、海に近い環境ならさびにくいステンレスを採用する、風雨にさらされる環境なら防水対策や防塵対策をとる、などです。
制御盤を屋内で使用するなら注意すべき点はそれほどありませんが、屋外使用の場合は直射日光や雨を避けられる構造にしたり、表面処理やすき間部分のシーリングを考慮したりしなければならないでしょう。
・構造
制御盤のサイズや重量しだいではフレーム構造にしたほうがよいかもしれません。大きくて重たい制御盤を収める筐体をフレームなしの構造にすると、取り付け部分から鋼板が裂けたり、筐体自体が変形したりする可能性があるためです。製作コストがかかり筐体重量も大きくなってしまいますが、フレーム構造にしておけば制御盤や筐体が破損するリスクを抑えることができます。
・寸法
現在の板金加工は精度の高い加工ができるようになりました。とはいえ、プレス機を用いた切断加工や曲げ加工では、その性質上ある程度の誤差が発生することがあります。設計時には公差(誤差の許容範囲)を持たせておくことが大切です。
・逃がし
曲げ加工では板材を曲げた部分に膨らみが発生します。研磨機などであとから膨らみを除去することもできますが、手間とコストがかかってしまうのが難点です。また、あけた穴が変形したり板材が割れたりするようなトラブルも起こりえます。設計する際に逃がしを考慮して図面をおこすことで、これらのトラブルを回避することができます。
加工で注意すべき点
・切断・穴あけ・抜き加工
タレパン加工をおこなった際に、板材にそりが起きます。そりが大きすぎると寸法が狂ってしまい、組み立て時に支障が出ます。ストリッパの圧力を強くしたり、パンチを研いで切れ味をよくしたりすれば、そりを減少させることが可能です。また、レーザー加工なら加圧によるそりは発生しません。
・曲げ加工
曲げ加工では、曲げ部分付近の板端や穴が変形することがあります。また、複数の曲げ線が接する筐体の角などは、曲げ位置と板厚によっては割れが起きやすいです。曲げ加工における変形や割れは、あらかじめ逃がし穴や切り欠きなどの逃がしを設けておけば対処できます。
・溶接加工
筐体加工ではスポット溶接を主に用いますが、電流や電極の加圧力、通電時間などが適切でない場合に溶接がうまくいかないケースがあります。電極チップの先端形状も重要で、板材の特性や冷却効率、溶接の角度など、さまざまな要素を加味して選択することが必要です。
溶接加工のトラブルには、打点欠損やはがれ、割れなどがあります。溶融面積や溶け込みが不十分な場合には、筐体の強度や耐久性を損なうため注意しなければなりません。
箱物筐体の基本情報や作りかた・注意点を熟知した製作
箱物筐体は制御盤を入れるための箱で、主に鋼板やステンレス、アルミニウムといった金属の筐体です。内蔵されている電子機器を保護するため、防水や防塵、さび対策を施すこともあります。
箱物筐体の製作は精密板金によっておこないます。筐体製作を成功させるには、設計と加工の際に多くの注意点を理解しておくことが大切です。設計から切断・穴あけ加工、曲げ加工、溶接加工を経て筐体が無事に完成すれば、制御盤を取り付けて運用を開始できます。
使われる利用シーンを想定した箱物筐体の製作が可能です。箱物筐体の製作をご検討の際はお気軽にご相談ください。