富士金属工業所はタレパン加工を含め、板金加工のスペシャリストです。
金属板の切断、抜き、曲げ、溶接、その後の塗装、メッキ、組み立てまで一貫した対応が可能です。
フットワークの軽さと対応力でお客様のご要望にお応えいたします。
タレパン加工をわかりやすく説明
タレパン加工は精密板金の穴あけ・抜き工程でおこなわれます。NCTあるいはNCタレットパンチプレスとも呼ばれ、さまざまな製品を作るために用いられる加工方法です。今回はタレパン加工の基本情報や特徴、メリットを解説し、レーザー加工との比較についても紹介します。
タレパン加工とは
タレパンとはタレットパンチプレスの略称で、精密板金で穴あけ加工や抜き加工をおこなう機械のことです。ここでは、タレパン加工の仕組みやタレパンの種類、タレパン加工の方法について解説します。
タレパン加工の仕組み
タレパン加工では、金型を板材に押し込んで打ち抜くことで穴をあけます。構造的には書類をファイリングするときに使う「穴あけパンチ」と同じ仕組みです。ストライカーが上から力を加え、タレット内部の金型を下へ押し出すときに材料に穴があきます。
金型には上金型(パンチ)と下金型(ダイ)があり、これを1セットとしてタレットに格納します。一般的なタレットは円形になっており、複数の金型セットを交換しながら作業をおこないます。タレパン加工機はNCプログラムで制御して複雑な加工を施すことも可能です。
タレパンの種類
タレパンのストライカーの駆動方式は、「機械式」「油圧式」「サーボモータ式」の3つに分けられます。
機械式では、フライホイールの回転運動をクランクが上下運動に変換し、ストライカーに伝えることによって駆動させます。パンチの衝撃が大きいため、加工時に振動や騒音が発生します。
油圧式は油圧バルブを調整して、ストライカーの駆動速度を制御できるタレパン加工機です。パンチの衝撃が機械式よりも小さく、振動と騒音の発生を抑えられます。また、金型の摩耗や劣化も緩やかです。
サーボモータ式は、ストライカーの駆動に精密な制御が可能なサーボモータを使用します。駆動速度や加圧量の細やかな調整ができ、作動油を使わないため地球環境にもやさしいのが特徴です。
タレパン加工の方法
タレパン加工には、主に以下のような3つの方法があります。
・単発加工
単発加工は、タレットに格納した丸型や角型、長角型などの金型を選び、板材を打ち抜く単発のプレスのことです。穴の形状は使用した金型の形と同じになります。
・追い抜き加工
穴を重ねながら連続するように板材を打ち抜くのが追い抜き加工です。単発加工では対応できない形状や大きな穴の打ち抜きができます。
・ニブリング加工
ニブリング加工は、追い抜き加工よりもずらす間隔を狭めて、さらに高速な連続打ち抜きをおこなう加工方法です。汎用金型である丸型を使って、アール形状や大きな丸穴などのさまざまな抜き加工をおこなえます。
タレパン加工の特徴
タレパン加工は精密板金で使用される加工方法ですが、工具を用いる手板金や大量生産が可能なプレス加工とどう違うのでしょうか。ここでは、タレパン加工が持つ特徴について解説します。
汎用金型で加工をおこなう
専用金型を使うプレス加工とは異なり、タレパンは丸型や角型などの汎用金型で穴あけ加工をします。タレット内の複数の金型を組み合わせて加工したり、追い抜き加工やニブリング加工を駆使したりすることで、複雑な加工にも対応可能です。
NCプログラムで制御する
タレパンは、NCプログラムで複雑な加工の制御や作業の自動化をおこなえます。専用ソフトの習得は必要ですが、従来の手板金に比べると人の手がかかりません。作業員1人で複数台のタレパン加工機を操作・監視することもできます。
タレパン加工のメリット
タレパン加工は汎用金型の使用とNCプログラム制御が大きな特徴です。これらの特徴から、加工精度の安定性や汎用性の高さ、コスト削減といったメリットが得られます。それぞれのメリットを詳しく説明しましょう。
安定した精度で加工できる
NCプログラムによる制御のおかげで、加工精度が作業員のスキルに依存せず品質が安定します。金型の選定や板材の移動および位置調整は、プログラムに基づいて機械がおこなうため正確です。一定の加工精度が保たれるタレパン加工では、手板金のように熟練の職人技を必要としません。
複雑な加工や大量生産にも対応できる
追い抜き加工やニブリング加工を駆使すれば、汎用金型でも複雑な加工ができます。試作品のような少量生産の依頼にも専用金型なしで対応可能です。その一方で、板材の自動供給装置や自動取り出し機などと連動させれば、連続自動運転で大量生産もできるポテンシャルも兼ね備えています。
コストを削減できる
タレパンはメンテナンス性がよく、通常の使用では部品交換も頻繁には起こりません。作業員1人で複数台のタレパン加工機を操作・監視できるため、人的コストも抑えられます。ランニングコストは、タレパンと同様にブランク加工に用いられるレーザー加工機よりも安価です。
タレパン加工とレーザー加工の比較
タレパン加工とレーザー加工は、同様の加工をおこなうことができます。しかし、どちらの加工方法を使ってもまったく同じ結果になるというわけではありません。
板材を打ち抜いて穴をあけるタレパン加工ではダレやカエリができます。板材の上にスクラップやバリが乗ってしまうカス上がりも発生します。レーザー加工はレーザー光の熱エネルギーで溶解するため、ダレやカエリ、カス上がりが発生せず仕上がりがきれいです。また、タレパン加工は3mm程度の厚さ(弊社では6mm程度まで対応可)の板材までしか対応できませんが、レーザー加工では12mm前後の厚みまで加工できます。
直線的な切断はレーザー加工にも分がありますが、形状によっては金型で打ち抜くタレパン加工のほうが速い場合があります。レーザーを反射しやすいアルミや銅などは古いレーザー加工機では対応できないので、タレパンでの加工を選択するほかありません。
両方の特性をよく知って、加工する金属や目的に合った方法を選ぶことが大切です。
タレパン加工の特徴やメリットを理解しよう
タレパン加工は汎用金型を使って板材を打ち抜く加工技術です。NCプログラム制御や追い抜き加工・ニブリング加工により、安定した精度で複雑な加工を可能にします。少量生産から大量生産まで対応し、タレパン加工機の運用も低コストです。
レーザー加工と比較すると、タレパン加工にはメリットもデメリットもあります。弊社ではタレパン加工の特徴やメリットをしっかり把握し、効率的な板金加工をおこなっております。