レーザー加工

富士金属工業所はレーザー加工をはじめ、板金加工のスペシャリストです。

金属板を切断、抜き、曲げ、溶接、その後の塗装、メッキ、組み立てまで一貫した対応が可能です。

フットワークの軽さと対応力でお客様のご要望にお応えいたします。

レーザー加工をわかりやすく説明

レーザー加工は宇宙・軍事産業から発展し、自動車や航空機などの輸送機器産業から、精密化・超小型化が進む医療機器産業あるいは半導体産業にまで幅広く応用されてきました。私たちの身近な商品や製品をつくる際にも、レーザー加工が活用されています。今回は、レーザー加工の基本情報、特徴やメリット、タレパン加工との比較について解説します。

レーザー加工の基本情報

レーザー加工とは、レーザー光を対象物に照射して切断や穴あけをおこなう加工技術のことです。板金加工においては、切断やブランク加工(穴あけ・抜き)、溶接などで使用されます。ここでは、レーザー加工の原理や用途、種類について解説します。

レーザー加工の原理

太陽光を虫めがねのような凸レンズで集光すると、物を燃やすほどの熱エネルギーが得られます。レーザー加工も基本的にはこれと同じ原理です。レーザー光を一点に集めて対象物に照射し、高温で融解または蒸発させます。レーザー光は通常の光と違い、指向性が高く位相も波形もそろっているため、非常に強力なエネルギーを発生させられるのです。

レーザー加工の用途

レーザー加工の主な用途は以下のとおりです。

・切断

板金加工で板材を切断する際に使われます。ワークに圧力をかけずに切断できるため、ダレやバリのないきれいな断面が得られます。

・穴あけ

ドリルのように穴をあけたり、円を描いて切り抜いたりすることが可能です。φ0.01mm単位の微細な穴あけが必要な精密部品の加工でも使用されます。

・溶接

レーザー光によって金属を融解させて接合します。材料の融点が異なる場合や接合に精密さが求められる場合にも有効な方法です。

・焼入れ

レーザー光を鋼材表面に照射して急速に加熱し、内部への熱伝導で急冷して鋼材を変態させ、硬度を増すことができます。

・マーキング

シリアルナンバーの刻印やロゴの彫刻を金属部品の表面に施します。

レーザー加工の種類

レーザー加工の種類は使用する媒質によって分けられます。二酸化炭素を使った「CO2レーザー」、人造結晶(YAG結晶)を使った「YAGレーザー」、光ファイバーを使った「ファイバーレーザー」、ハロゲンなどの混合ガスを使った「エキシマレーザー」などです。板金加工の素材や用途に応じて、それぞれの媒質を用いたレーザー加工機が利用されています。

レーザー加工の特徴

レーザー加工ではレーザー光を使うため、ほかの加工方法にない特徴があります。その特徴のおかげで幅広い素材や用途に対応することが可能です。ここでは、レーザー加工の特徴を2つのポイントにまとめて紹介します。

切削工具が不要な非接触加工

切削工具にはバイトやドリル、エンドミル、正面フライスがあります。レーザー加工ではこれらの工具が不要で、板材に触れずに加工できるのが大きな特徴です。工具を使うときのように、力がかかって板材が変形したり摩擦熱などでひずんだりすることがありません。

また、非接触であるため板材の硬度にかかわらず加工が可能です。超硬金属や割れやすいセラミックに対しても、レーザー加工なら切断や穴あけを問題なくおこなえます。

NCプログラムによる精密な加工が可能

レーザー加工機はNCプログラムによって制御します。図面データを取り込みプログラムを組むことで、複雑な形状の切断や微細な穴あけなどの精密加工が可能です。

プログラム制御の自動運転のおかげで、手作業の加工に比べて人員の削減や加工工程の短縮が図れます。また、機械に巻き込まれたり工具でケガをしたりするリスクは限定的で、作業の安全性も高められます。

レーザー加工のメリット

レーザー加工には「非接触で加工ができる」「プログラム制御で精密な加工ができる」という特徴があります。これらの特徴はレーザー加工を使用するメリットにつながるものです。以下、レーザー加工のメリットを3つ紹介します。

作業を効率化・高速化する

非接触で作業をおこなうレーザー加工では金型を使用しないため、加工作業中に金型交換の手間がありません。また、刃物に付着した粉塵の除去や摩耗した刃物の交換作業も必要なく、効率よく作業を進められます。レーザー加工機のメンテナンスは、レンズ面を拭いたりアシストエアーを清掃したりする程度で、基本的に交換作業が発生しないのがメリットです。

レーザー加工は従来の加工方法よりも金属板材の切断作業を高速におこなえます。さらに、溶接や表面処理、マーキングといった複数の加工方法にもレーザー加工機1台で対応するため、工程全体の効率化が可能です。

難易度の高い加工がおこなえる

細いレーザー光をNCプログラムで制御し、ほかの加工方法では難しい曲線状の切断や微細な穴あけをおこなえます。加工領域が非常に狭くても対応可能で、刃物が入らないような箇所に加工を施すこともできます。

超硬金属や硬脆材料のほか、皮や布のような薄肉材料を加工する場合でも、レーザー光なら問題ありません。プログラムが正確であれば、熟練の技術がなくても難易度の高い加工をおこなうことができます。

加工を美しく仕上げられる

せん断をおこなうタレパン加工やプレス加工とは違って、レーザー加工にはバリやカエリがほとんどなく、切断面が美しく仕上がります。

非接触のレーザー加工は板材に力を加えないため、変形やひび割れ、ひずみの発生を最小限に抑えられます。結果として安定的に高品質の加工をおこなえるのです。

レーザー加工とタレパン加工の比較

レーザー加工とよく比較される加工方法にタレパン加工があります。どちらもブランク加工をおこなう場合のポピュラーな方法です。

タレパン加工では複数の金型を使用し、連続的なプレス作業で切断や穴あけをします。直線的な切断は、基本的にレーザー加工のほうが高速です。一方、タレパン加工は穴あけが多い加工に向いています。タレパン加工は穴あけの真円度が安定するためです。

3mm以上の厚さのある板材はタレパン加工には向きません。レーザー加工なら高出力のレーザー光で対応できます。ただし、レーザーの焦点距離の範囲に収まらないほど厚みがあると、エネルギー密度が低下するためレーザーでも加工が困難です。

アルミや銅などの反射率が高い板材は、古いレーザー加工機では対応できないこともあります。また、一般的にはレーザー加工のほうがタレパン加工よりも高コストです。素材や用途によって、レーザー加工とタレパン加工を使い分けるのが望ましいでしょう。

レーザー加工の特徴やメリットを知っておこう

レーザー加工は、強力なエネルギーを持つレーザー光で切断や穴あけ、溶接、焼入れ、マーキングをおこなう加工技術です。非接触かつプログラム制御で加工をおこなえるため、作業の効率化や難しい作業への対応が可能です。

タレパン加工と比較すると、レーザー加工にも得意・不得意があることがわかります。レーザー加工の特徴やメリットをよく理解して、部品や筐体などの製作で弊社ではレーザー加工機を活用しています。