富士金属工業所は板金加工のスペシャリスト

金属板の切断、抜き、曲げ、溶接、その後の塗装、メッキ、組み立てまで一貫した対応が可能です。

フットワークの軽さと対応力でお客様のご要望にお応えいたします。

板金加工の基礎知識

板金加工は、パソコンやテレビ、エアコンといった、私たちの生活を支えるさまざまな製品を加工する技術です。飛行機や電車、自動車のような大きなものから、電子部品や機械部品のような小さなものまで幅広く使われています。

今回は板金加工の基礎知識として、板金加工の種類や材料、工程、作れるものや代表的な工作機械、メリット・デメリットを解説します。

板金加工とは

板金加工は金属の加工方法のひとつです。平らな金属板材を切断、変形、溶接し、金属材料をさまざまな形状に加工します。ここでは、板金加工の基礎知識として、板金加工の種類や材料について説明します。

板金加工の種類

板金加工の種類は「機械板金(精密板金)」と「手板金」の2つです。機械板金では汎用板金をセットした板金機械を用い、位置調整などは人の手でおこないます。一方、手板金はハンマーやツカミ、板金ハサミなどの工具を使って職人の手で成形する方法です。

専用金型を使用して一度の工程で大量に形成できる「プレス加工」と比較して、板金加工は時間がかかるため大量生産には向きません。しかし、金型だけでは難しい流線形の成形や細かな調整が要求される加工にも対応できます。

板金加工の材料

板金加工の材料として一般的に使われているのは、鉄鋼(軟鋼板、表面処理鋼板、ステンレス鋼板など)、非鉄金属(アルミニウム、銅など)、非金属(合成樹脂板、繊維材料など)です。近年では炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、チタンのような新素材も登場しています。材料によって特性が異なるため、用途に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。

板金加工の工程

板金加工の工程は製品によって多少変わることがありますが、大まかに「設計と図面の展開」「材料の切断」「ブランク加工(穴あけ・抜き)」「ベンディング(曲げ加工)」「溶接加工」「仕上げ加工」の6工程に分けられます。

設計と図面の展開

第三角法(正面・平面・側面の三面図)で描かれた設計図面を板金で実現するために、平板の展開図を作成します。製品の強度や外観、精度に関わる重要な工程です。ほかにも廃棄をいかに少なくするか、溶接箇所をどこにするかなど、図面の展開には技術者の経験やスキルが求められます。

材料の切断

規格サイズの定尺材をシャーリングマシンで切断します。材料が余れば別の板金加工で利用できて、歩留まりが良くなるためです。あらかじめ必要な分だけ切断しておけば後の工程での取り回しもよく、余る部分に不要な傷がついてしまうのを防ぎます。

ブランク加工(穴あけ・抜き)

ブランク加工にはタレットパンチプレスでおこなう「タレパン加工」、高出力のレーザー加工機で切断する「レーザー加工」があります。タレパン加工は板厚3.2t前後まで対応でき、量産にも適しています。レーザー加工は複雑な形状の穴あけや抜きが可能な方法です。両方を用いた「複合加工」は複雑な形状の切り出しと成形を同時におこなえます。

ベンディング(曲げ加工)

穴あけと抜きを施した板金(ワーク)に、ベンダーマシンで「曲げ加工」をおこないます。製品の強度や精度、仕上がりに大きくかかわるため、板金加工の最も重要な工程です。曲げ加工前にはネジ山やネジ穴の加工、バリ取りをしておきます。

溶接加工

曲げ加工などを施した金属板を、製品形状に組み立てて接合する工程です。アーク放電による「アーク溶接」と、レーザー光による「レーザー溶接」があります。溶接加工者の技術が仕上がりに大きく影響します。

仕上げ加工

研磨機や仕上げ工具などを駆使して、溶接時にできた凹凸や焦げ跡などをなくす作業です。研磨すると表面が滑らかになるだけでなく、ツヤが出て製品の外観もよくなります。

 

板金加工で作れるもの

建築板金として建物の鉄骨や屋根、外壁、ダクトなどの建築構造物を加工できます。工場板金では、あらゆる工業製品の筐体や部品などを作ることが可能です。身近なものを挙げるとパソコンや冷蔵庫、キャビネット、自動ドアのフレーム、飲食店のカウンターなど無数にあり、板金加工なくしては私たちの生活が成り立たないといえるほどです。

板金加工の代表的な工作機械

板金加工で使用する代表的な工作機械などを紹介します。

シャーリングマシン:板金をハサミの原理で直線的にせん断する機械です。

タレットパンチプレス:複数の汎用抜き金型をセットして、板金を目的の形状に抜いたり、穴開け加工をしたりします。

レーザー加工機:レーザー光を利用して切削や旋削をおこないます。抜き金型に依存しないため複雑な形状にも対応可能です。

ベンダーマシン(プレスブレーキ):ブランク材を上型(パンチ)と下型(ダイ)の間にはさみ、曲げ加工を施す機械です。

溶接機:抜きや曲げ加工がなされた板金を電極の上にセットして溶接する「テーブルスポット溶接機」と、アーク放電によって溶接する「アーク溶接機」があります。

研磨機・仕上げ工具:板金加工の研磨と仕上げをする際には、溶接でできた盛り上がり部分を削るディスクグラインダー、広い範囲を効率よく研磨できるベルトサンダー、精密やすりやサンドペーパーなどを使用します。

板金加工のメリット・デメリット

さまざまな製品づくりに利用されている板金加工ですが、メリットもデメリットもあります。ここでは、板金加工のメリットとデメリットを解説します。

板金加工のメリット

板金加工は木材加工品よりも材料の厚みを薄くでき、また、プラスチックの射出成形に比べて高い強度を保つことができます。筐体のような、中空で軽くて丈夫なものを加工するのに最適です。

専用金型が必要なプレス加工と比較すると、イニシャルコストの面で有利です。板金加工は少量多品種の加工に対応しやすいのも強みです。切削や鋳造、鍛造加工に比べて板金加工は時間がかからず、コストを大きく抑えられます。

板金加工のデメリット

板金加工は人の手でおこなうため、製品形状によっては大量生産に向きません。大量生産においてはプレス加工のほうがコストとスピードで勝ります。また、板金加工では切削加工ほどの高い加工精度を出すのは困難です。

手作業でおこなう割合が大きい板金加工は、職人のスキルによって仕上がりに差が出ることがあります。加工によって板金の厚みが変わり、素材本来の強度が下がってしまうのもデメリットのひとつといえるでしょう。

板金加工の基礎知識を理解しよう

板金加工には「機械板金」と「手板金」の2種類があります。作成したい製品や部品に合わせて、鉄鋼や非鉄金属、非金属を加工することが可能です。板金加工は大まかに6つの工程でおこないますが、各工程で職人のスキルや経験が求められます。

採用する加工方法や工作機械によってコストや作業時間が変わってきます。効率的な設計をおこなうには、板金加工の知識をよく理解することが大切です。